11月18日(月)はにぽんプラザにて通常例会(第1177回)が開かれました。
また、今月はロータリー財団月間ということで、財団の補助金小委員会委員長の広瀬 勝俊様(深谷東RC)をお招きして卓話をしていただきました。
◆卓話
補助金小委員会委員長 広瀬 勝俊様(深谷東RC)
■ロータリー財団の歴史について
(財団プログラムの変遷)
ロータリー財団の創始者 アーチ・クランフ(国際ロータリー第6代会長)
「私たちは、自分のためだけに生きるべきではありません。誰かのために“よいこと”をする喜びのために生きるべきです」(アーチ・クランフ)
今日は、財団の歴史ということで、私も改めて勉強しなおすいい機会になりましたので、財団の100年の歴史についてお話しさせていただきたいと思います。
ロータリー財団というのは、国際ロータリーのロータリー財団ということで、それが正式名称になります。
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(以下卓話内容です)
1917年 ロータリーの6人目のアーチ・クランフRI会長が「世界でよいことをする」ための基金の設置を提案。
アトランタ(米国ジョージア州)ロータリー年次大会の演説で、クランフ会長が、現在のロータリー財団の種となる基金の設置を提案。基金への初めての寄付は、カンザスシティ・ロータリークラブ(米国ミズーリ州)からの26ドル50セントでした。
1928年 「ロータリー財団」と正式に命名(ミネアポリスの国際大会)
1930年 【最初の補助金授与】財団が国際障害児協会に500ドルの補助金を授与
1936年 世界の問題に対する市民の意識を高める国際理解研究会を各地で開催
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1947年 ロータリーの創始者ポール・ハリス逝去(ロータリー会員から130万ドルの追悼寄付)
(ロータリー創設者ポール・ハリスの逝去後、「追悼は献花ではなく財団への寄付」というハリスの遺志が電報でロータリアンに伝えられました。)
ロータリーの創設者 ポール・ハリス(1905年に国際ロータリーを設立)
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◆1947年 ロータリー財団初のプログラム「高等教育のためのフェローシップ(奨学金)」を開始
(→後に、「国際親善奨学金」として知られるようになる)
◆1957年 ポール・ハリス・フェロー認証プログラムを創設
◆1963年 カール・ミラーが「地区の組み合わせプログラム」を創設
異なる国のクラブとクラブ、地区と地区を組み合わせて国際理解を推進するプログラムが開始されました。1990年代の「カール・ミラー助成金」は奉仕プロジェクトに必要な会員の旅費を援助しました(この助成金は2003-04年度に廃止)
◆1965年 「研究グループ交換(GSE)」「技術研修のための補助金」「特別補助金(ロータリー財団の目的を果たす活動のための補助金)、後のマッチング・グラント」の3つのプログラムを開始
※マッチング・グラントの目的は、ロータリー・クラブと地区が他国のロータリアンと協力して、国際的な人道的プロジェクトを遂行するのを援助すること。
◆1978年 「保健、飢餓追放および人間性尊重(3-H)補助金プログラム」を創設
3-Hプログラムは、保健(Health)、飢餓の緩和(Hunger)、人道的活動(Humanity)や開発を改善することを目的としています。きれいな水の提供、識字率向上、医療の支援など、多様なプロジェクトに利用されたこの補助金は、今日の「グローバル補助金」の土台を築きました。
3-H補助金のプロジェクトの第一号として、フィリピンの 600 万人の子供達にポリオの予防接種が実施されました。
3Hからポリオプラスプログラムがスタートしました。
◆1979年 ロータリーがフィリピンで600万人の児童へのポリオ予防接種活動を開始
【なぜポリオなのか?】ロータリーが承認した最初の3-H補助金は、フィリピンでの予防接種用にワクチンを購入することが目的でした。同じ頃、天然痘の撲滅に関する記事を読んだクレム・レヌーフ国際ロータリー会長は、数人のロータリー会員および国立衛生研究所の感染病部門責任者だったジョン・セバーに連絡し、伝染病の撲滅にロータリーが取り組めるかどうかを相談。セバーはポリオ撲滅への取り組みを勧め、経口ポリオワクチンの開発者であるアルバート・セービン博士との協力を提案。セバーとセービンの両者とも、ロータリーのポリオ撲滅プログラムに欠かせない存在でした。1979年9月29日、国際ロータリーとフィリピン保健省の間で、ポリオ予防接種に関する合意が交わされました。この取り組みが、地球上からポリオを撲滅するというロータリーの壮大な目標のきっかけになりました。
(※ロータリーによるポリオ根絶活動のルーツについてはこちらをご覧ください。)
◆1980年 「予防接種を通じてポリオを撲滅する」ことがロータリーの目標に
◆1981年 財団が「恒久基金」を設立
恒久基金とは、特定の寄付を投資し、元金には手をつけずにその収益のみを財団の活動に活用することを目的とした基金。
◆1983年 米国イリノイ州の号令のもと非営利団体とロータリー財団はなりました。
◆1985年 ポリオプラスプログラムを創設。全世界でポリオの撲滅をめざす。
【ポリオのプラスとは?】当初、「プラス」はポリオワクチンとともに投与されていたほかのワクチンを指していました。現在は、ポリオ撲滅の取り組みにより築かれたインフラやファンドレイジングとアドボカシーのノウハウを、他の疾病対策に生かしていくことも意味しています。
(※ファンドレイジングとは民間非営利団体が活動のための資金を個人、法人、政府などから集める行為のこと。※アドボカシーとは、擁護・代弁・支援。社会的な弱者の権利を擁護すること。)
◆1987年 初の平和フォーラムが開催され、これが「ロータリー平和フェローシップ(奨学金)」設立のきっかけとなる。
◆1988年 数年間にわたるポリオプラス・キャンペーンで約2億4700万ドルを募金。ポリオ予防接種活動でのロータリーの成果がきっかけとなり、世界保健総会が世界ポリオ撲滅推進活動(GPEI)を創設しました。
【GPEIとは?】世界ポリオ撲滅推進活動(Global Polio Eradication Initiative=GPEI)。国際ロータリーをはじめとするパートナー団体と各国政府による、世界からポリオを根絶することを使命とする官民共同のパートナーシップです。
当初、GPEIはロータリー、世界保健機関(WHO)、米国疾病対策センター(CDC)、ユニセフで構成され、これらの団体が協力してポリオ撲滅活動に当たっていました。その後、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を含む他団体や各国政府が加わりました。
◆1995年 全国予防接種日の支援を目的とした「ポリオプラス・パートナー」プログラムを創設。
バナー、パンフレット、Tシャツ、帽子などのキャンペーングッズ、ワクチンの冷却保存容器など、全国予防接種日に必要なものを購入するためにポリオプラスパートナー・プログラムを開始。
◆1999年 ロータリー平和センターの設立。平和センターとは、平和と紛争予防・紛争解決の分野で活躍できるリーダーを育成することを目的としたプログラム。世界の7大学にロータリー平和センターを設置。毎年100名までのロータリー平和フェローが選ばれて、紛争の解決と平和における国際問題を研究する。
◆2004年 「Every Rotarian, Every Year」(EREY)を開始。
250,000ドル以上の寄付者認証プログラム「アーチ・クランフ・ソサエティ」を設立。
【EREYとは?】全ロータリアンが毎年財団に寄付することを奨励する取り組み。当初は年次基金への一人あたりの寄付額を年100ドル以上とすることが目標でしたが、開始から10年後、年次基金への一人あたりの寄付額は116ドルとなりました。
◆2007年 ビル&メリンダ・ゲイツ財団が1億ドルのチャレンジ補助金をロータリーに授与。
【チャレンジ補助金とは?】ロータリーが集めた1億ドルに対し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が同額1億ドルの補助金を上乗せするもの。その2年後、ゲイツ財団は、ロータリーが追加2億ドルを集めることを条件に、2億5,500万ドルをロータリーに授与することを発表。ロータリーとゲイツ財団とのパートナーシップは、世界の人びとの健康を守るために大きく貢献しています。
◆2009年 ロータリーとUSAID(米国国際開発庁)が国際H2O協力を開始。
◆2013年 「未来の夢計画」のもと、簡素化された補助金モデル、「新補助金モデル」(グローバル補助金、地区補助金、パッケージ・グラント3種類の補助金)が導入される。
2017年に財団創立100周年を迎えるにあたり、時代のニーズに合ったものに財団を変えていこうとしたのが「未来の夢計画」です。これに伴い、簡素化された新しい補助金モデルが導入され、3-H補助金、マッチング・グラント、旧地区補助金、国際親善奨学金、研究グループ交換(GSE)は廃止されました。
◆2015年 約30年にわたるロータリーとパートナー組織の懸命な取り組みにより、1988年のGPEI発足以来、ポリオの発症数は99.9%減少。
◆2016年 7月1日に財団創立100周年を迎えました。
■ロータリー財団の支出(2017-18年度)
支出総額:3億2,800万ドル(世界)
【2017-18年度のロータリー財団の支出状況について】
「ロータリー財団の一番の支出はポリオプラスです。
全体の寄付の92%をプログラム補助金(ポリオプラス・ロータリー平和センター・その他の補助金)と運営費によって使っております。」
■寄付目標
次に、今年度の寄付の目標について述べられました。
「2019-20年度 寄付の目標は、
◆クラブ寄付 50ドル以上
◆クラブでポリオプラス 30ドル以上
◆恒久基金 30ドル以上
(合計:110ドル)
◆個人寄付 100ドル以上
全部で、210ドルの寄付をお願いしたいです。」
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さらに、「第2570地区での地区補助金申請リスト(2019-20年度)」と、「第4グループクラブ別財団寄付額報告書一覧(2018年7月~2019年6月)」を配布されて、
「寄付金ゼロをなくすことを目標に、昨年度の寄付額報告書を見ていただきました。
寄付と言っても、ロータリーでは、寄付金を活用できます。ロータリー活動のために、自分たちで基金を貯めて、有効に使ってください。」
広瀬様は、寄付を有効に使ってのロータリー活動をアドバイスしてくださいました。
■ポリオプラスプログラムについて
卓話の最後には、ロータリー財団の支出で一番多い「ポリオプラスプログラム」に関連して、現在のポリオの状況についてご説明くださいました。
ロータリー財団のプログラムを以下に示します。
■ポリオプラス
■ロータリー平和フェローシップ
■補助金
ポリオプラスプログラムは、支出からみても、財団の中でもっとも多いです。
現在の野生株によるポリオ症例数(2019年9月25日時点)です。
・パキスタン 66件(※紛争地域のためワクチンを届けることが難しい)
・アフガニスタン 16件
・ナイジェリア 0件(3年間0件)
ナイジェリアでは、3年間ポリオが発症していないということで、来年には世界保健機関(WHO)からポリオフリーとして宣言されるかもしれません。
ポリオ(急性灰白髄炎きゅうせいかいはくずいえん)とは、小児まひとしての方が伝わりやすいかもしれません。
日本でポリオが発生して死者がでたことはあまり知られていません。昭和35年1960年6月北海道夕張で大発生 1600人以上がポリオを発症し、死者は127名にものぼりました。
830名の方にまひが残りました。
夕張のカトリックの神父様は、母国教団から3000人分のワクチンを取り寄せて寄付しましたが、当時の状況では生ワクチン使えませんでした。検査に2ヵ月、費用も150万円もかかりました。
そのようなわけで、神父様がワクチンを寄付してくだっさったにもかかわらず、すぐには使えませんでした。
実際に日本にワクチンが導入されたのは、1961年7月21日。カナダから生ワクチンが300万人、ソ連から生ワクチンが1000万人分届けられました。それによって、この後、ポリオ患者の発生は急速に低下しましたが、夕張で多くの方が感染してから、1年後のことでした。
このように、日本でもポリオで多くの方が亡くなりました。
ロータリー財団では、ポリオプラスプログラムを掲げポリオ根絶活動に取り組んでいます。
(その他財団について)
卓話とは別になりますが、ロータリー財団について大事だと思ったことをまとめました。
2017 年にロータリー財団は 100 周年を迎えることから、ロータリー財団の仕組みを見直し、時代のニーズに合ったものに変えていこうとスタートしたのが「未来の夢計画」(新補助金制度)です。新補助金制度は、2013-14 年度から世界中で一斉に始まりました。
【未来の夢計画の導入によって変わったこと】
■地区補助金の分配率と内容が変わった
■グローバル補助金が新設された
■ 地区で使用できる補助金が大幅に増加した
■ クラブの計画・申請・承認は、全て前年度に行うことになった
■ クラブの申請手順が簡素化された
などの改革が進められました。
ロータリー財団の歴史や、補助金のことなど財団のことはとても難しいですが、奉仕の意識が世界中に広まっていく過程をたどることができて、とても勉強になりました。
広瀬 勝俊様、このたびは、貴重なお話を聞かせてくださいまして、ありがとうございました!!